Monday, July 5, 2021

ミャンマー弾圧「関心持って」 - 読売新聞

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 日本とミャンマーの間で揺れる家族を描いた両国の合作映画が、宝塚市の「シネ・ピピア」で9日から上映される。大阪出身の藤元明緒さん(33)がメガホンを取った「僕の帰る場所」。2月に現地で国軍のクーデターが起きて以降、全国のミニシアターで上映し、弾圧にさらされる人々のサポートに向け、配給収益などを寄付している。「映画を見て『帰る場所』を失った人たちがいる現実に関心を持って」と願う。(高部真一)

 藤元さんが監督を務めた長編の第1作で、在日ミャンマー人の一家を描いた。夫が難民認定の申請を却下され、妻は幼い子2人と帰国する。日本語しか話せない長男は「日本に帰りたい」とひとり空港へ――。物語はそう展開する。

 東京で在日ミャンマー人と交流するうち、藤元さんはモデルとなった家族と知り合った。2014年12月には3週間、ミャンマーでロケ。長年の軍政から民政移管されて既に3年が過ぎていたのに、書き上げた脚本は検閲を受けた。

 撮影を常に監視していた情報省の役人から「脚本と違う」とストップをかけられもしたが、「柔軟さを持つことがミャンマー映画の将来のために必要だ」と説き伏せ、市井の人々の表情や街の風景にカメラを向け続けた。

 17年の東京国際映画祭で「アジアの未来」部門の作品賞などを獲得し、翌18年に全国各地で上映された。

       ◇

 在日ミャンマー人の妻がいる藤元さん。2月に国軍のクーデターが起きて以降はほぼ毎日、テレビ電話で現地にいる妻の両親や妹から状況を聞き取ってきた。治安部隊による弾圧などに心を痛め、配給収益を支援団体に寄付するチャリティー上映をプロデューサーと企画した。

 4月以降、東京や大阪、それに京都と、多くのミニシアターが応じてくれて、会場で募金もしている。シネ・ピピアは15館目だ。

 アウン・サン・スー・チー氏率いる民主化運動が始まった1988年生まれの藤元さんは、「それだけに思い入れが強い」。当時も軍の弾圧があり、妻はまだ幼かった頃の記憶を何度も聞かせてくれた。銃撃から逃げ惑う人々が家に飛び込んで来たこと。大人たちが街に転がる遺体を子どもに見せないようにしていたこと……。

 「30年以上もたつのに、なぜ状況が変わらないのか」と藤元さんは嘆く。「映画がそれを考える機会になり、日常を取り戻そうとする人たちの支えになれば」

 シネ・ピピアでは「僕の帰る場所」を15日までスクリーンにかける。続いて16~22日には3人のベトナム人技能実習生を主人公にした藤元さんの最新作「海辺の彼女たち」を上映する。

 17日には藤元さんのトークショーがあり、6日から館内の受付でチケット(300円、先着30人)を販売する。

 問い合わせはシネ・ピピア(0797・87・3565)。

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