Thursday, July 22, 2021

エネルギー計画 「数字合わせ」で終わらせるな - 読売新聞

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 エネルギーの安定供給を目指す政府の中長期的な指針が、数字の「 辻褄つじつま 合わせ」であってはならない。実現への道筋を明示してもらいたい。

 政府は、新たなエネルギー基本計画の原案を有識者会議に示した。意見公募を経て、今秋をめどに閣議決定する予定だ。

 2030年度の電源構成について、太陽光などの再生可能エネルギーの割合を現在の計画の22~24%から36~38%に引き上げ、火力発電は56%から41%に下げた。原子力は20~22%のままとした。

 計画は、温室効果ガスの排出量を30年度までに13年度比で46%削減する政府目標の裏付けとなるものだ。再生エネをどこまで増やすか、原子力発電をどう位置づけるか、が焦点となっていた。

 再生エネの比率は19年度の18%から約2倍となるが、その根拠は不明確と言わざるを得ない。

 期待の大きい洋上風力は整備に時間がかかるため、30年度までの本格稼働は困難だ。設置が容易な太陽光に頼るしかない。

 ただ、政府の固定価格買い取り制度で太陽光が急増し、すでに面積あたりの設備容量で世界一だという。適地は残り少なく、山林の切り崩しなどで災害を誘発することへの懸念が強まっている。

 政府は、荒廃した農地の転用や公共施設の屋根の活用などで太陽光を拡大するというものの、それでも足りないとの見方は多い。自治体や民間と連携し、現実的な積み上げを探ってほしい。

 太陽光は夜に発電できず、天候に左右されるなどの弱点がある。それを補っている火力発電を大幅に減らすなら、大容量の蓄電池の開発を急ぐか、二酸化炭素を出さない安定電源である原発を活用するしか選択肢は見当たらない。

 原発は、現計画を踏襲した比率ですら達成は危うい。今回も「重要な基幹電源」と位置づけたが、東日本大震災後に稼働に向けた申請があった原発27基中、再稼働したのは10基にとどまっている。

 30年度に20%にするには、27基全てが稼働しなければ難しいという。政府が責任を持って、再稼働を後押しすることが必須だ。

 計画案は、新増設や建て替えに言及していない。次期衆院選の争点にしたくなかったのだろう。

 30年度の目標を達成できたとしても、50年には温室効果ガスの排出量実質ゼロという次の目標が待ち構えている。原発は運転期間を最長の60年間に延ばした場合でも50年に23基に減る。政府は新増設の論議を早期に始めるべきだ。

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