鹿児島県種子島の西12キロにある西之表市の馬毛島(まげしま)だ。政府が、米空母艦載機による離着陸訓練(FCLP)の恒久施設を造る計画を進めている。
菅義偉政権は「住民の理解が必要」としながら、結論ありきの姿勢をあらわにしている。
FCLPでは、艦載機が地上の滑走路を甲板に見立て着陸と急上昇を繰り返す。轟音(ごうおん)を伴うため、訓練施設が神奈川県の厚木基地から小笠原諸島の硫黄島に移された経緯がある。
一度は頓挫した馬毛島が候補地に再浮上したのは、民主党政権下の2011年。安全保障に関する日米共同文書に明記された。
艦載機の拠点は既に、厚木から山口県の岩国基地に移っている。硫黄島は遠くなり、米軍は操縦士の安全確保や費用節減を理由に、馬毛島への移転を急ぐよう日本政府に迫っていた。
政府は買収交渉に着手し、昨年11月、島のほとんどを所有する東京の開発会社と合意に至った。買収額は鑑定評価額の4倍近い160億円に上るのに、積算の根拠を示していない。
いまでこそ無人なものの、馬毛島は「宝の島」として親しまれてきた。資源豊かな漁業、近隣の酪農、屋久島を含む観光業への打撃を懸念する声は強い。
懐柔のためでもあろう。防衛省は計画を、自衛隊の防衛訓練も行う共同基地と位置付ける。人口減少や財政難を背景に、自衛隊員が常駐する経済効果や、国の交付金を期待し、基地造成に賛同する人たちも少なくない。
政府は、住民の頭越しに計画を推進し、まともな説明の機会さえ設けてこなかった。西之表市がまとめた馬毛島活用案を一顧だにしない。同意を得る前から関連経費を予算計上していることにも、地元軽視は表れている。
西之表市の八板俊輔市長は今月「失うものの方が大きい」として初めて反対を明言した。米軍の訓練や基地使用を日本政府が制限できないこと、交付金は引き返せない被害の代償であることなども理由に挙げている。
国内法を適用できず、訓練も規制できない。基地立ち入りの規定もない。不平等な日米地位協定が重大な問題として横たわる。
米国の意向を優先し、種子島の人々に基地負担を押し付けてはならない。地位協定を含め、日米安全保障体制のあり方を抜本的に見直す時に来ている。
(10月25日)
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October 25, 2020 at 07:08AM
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社説 馬毛島基地計画 米軍優先の姿勢あらわに - 信濃毎日新聞
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