Thursday, July 1, 2021

新卒採用計画、新型コロナで二極化鮮明…九州・山口・沖縄50社 - 読売新聞

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 読売新聞は1日、九州・山口・沖縄の主要50社を対象にした2022年春の新卒採用計画の調査結果をまとめた。新型コロナウイルスの感染拡大で業績が悪化した運輸と外食の4社が採用を見送るなど約2割が21年春より減らす。一方、「巣ごもり消費」が追い風の小売りで積極的な採用が目立ち、コロナ禍で企業の採用姿勢が二極化している。(橋谷信吾)

 アンケート調査は6月下旬に実施した。22年春の採用について、21年春より「減らす」との回答は7社で、「採用しない」は4社だった。一方で「増やす」は10社、「前年並み」は半数近い23社に上った。

 採用を見送るのは、JR九州、スターフライヤー、ジョイフル、リンガーハットの4社。いずれも新型コロナウイルスの感染拡大で売り上げが減少し、業績が悪化したことが要因だ。

 JR九州は民営化直後の1988年以来、34年ぶりのゼロとなる。学生の人気就職先では常に九州で上位に名を連ね、コロナ前は200人規模の採用を続けてきた。青柳俊彦社長は6月30日の記者会見で、「何年も採用をやめるわけではない」と述べ、コロナの状況をみて再開を目指す考えを示した。一方でコスト削減に向け、全体の社員数を減らす必要性も強調した。

 ジョイフルとリンガーハットは不採算店の閉鎖を進めており、ジョイフルは2年連続で採用しない。リンガーハットは「退職者が多く本来は新卒を採用したいが、コロナ後の回復を見て再開したい」とする。小売りの中で不振の百貨店は、岩田屋三越が「若干名」と、コロナ前の10人超から2年連続で抑制する。

 「新型コロナでホームセンターの強みが出た。若手も活躍している」。6月23日、九州大のオンライン合同説明会で、ナフコ人事部の和田浩明さん(40)が語りかけた。同社は「巣ごもり消費」を追い風に業績好調で、店舗網拡大に向け採用を5割増やす計画だ。上乗せも検討する。

 ミスターマックス・ホールディングスも出店に向け2割増やし、食品スーパーの丸久は「新規出店による事業拡大」などを理由に5割増加。持ち帰り弁当店「ほっともっと」が堅調なプレナスも6割増やす計画だ。

 業績にかかわらず、コロナ後の人手不足や、社員の年齢構成を考慮して一定の人材を確保する企業も多い。

 第一交通産業は、コロナ後を見据え、運転手不足を補うため5倍の200人を採用する。ハウステンボスも2・4倍とし、「中長期的な自然減もあり必要な数だ」とする。過去最大の赤字となった西日本鉄道も前年並みの90人を計画する。

 メーカーや銀行は、「前年並み」が多数を占めた。TOTOは「社員数のゆがみが発生しないように」と年齢構成を考慮し、鹿児島銀行は「核となる人材を確保する」と回答した。

 アンケートでは面接方法についても尋ねた。コロナ禍の採用活動が2年目となり、オンライン面接を一部でも導入したのは8割超となり、すでに定着している実態が明らかになった。

 最終面接まで「すべてオンライン面接」は17社に上り、「対面のみ」はなかった。ただ、オンライン面接の評価は分かれる。「遠方の学生との接触機会が増えた」(銀行)などと歓迎する一方、「学生の雰囲気や熱意が分かりにくい」(小売り)、「理解度が低いまま面接に臨む学生が増えた」(サービス)と指摘する。

 また、政府が要請する「3月から説明会」などの採用ルールは、7割以上が「早めた」と回答した。「優秀な学生を確保するため」(システム開発会社)として特に理系学生の採用に早くから動く企業は多く、ルールの形骸化は顕著だ。

リクルート就職みらい研究所・増本全所長

 新型コロナウイルスの影響で業績回復が遅れている企業の採用意欲は落ち込んでいる。特に九州などの地方では、観光で潤っていた業種や地域で減少が目立つ。一方でコロナ収束を見据え、2~3年後の戦力を考えて採用意欲がある企業が多いのも特徴だ。

 リクルートの調査では、大学卒の就職内定率は、全国で74.1%(6月12日時点)と昨年より10ポイント近く高い。新型コロナの影響で採用活動が一時ストップした昨年より順調に伸びている。

 ただ、オンライン面接の定着で学生は多くの企業と接することができ、内定辞退者も増えている。安定した大企業志向も強い。人材を確保するため、22年春の採用活動を継続する企業は多いだろう。

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